黒澤明の『七人の侍』のキャラクターの「久蔵」は、めちゃくちゃかっこいい存在として描かれていますよね。
この記事では、久蔵がかっこいいと感じる理由について久蔵の出演シーンなどから詳しく掘り下げるとともに、本作を無料で見る方法についても解説しています。
七人の侍の久蔵がかっこいいワケは強さと優しさのギャップ
久蔵の魅力は、比類ない剣術の腕と意志の強さを持ちつつも、寡黙で謙虚、かつ優しいというギャップにあると言えます。
剣術の腕と意志の強さがすごい
久蔵(宮口精二)は修行の旅を続ける凄腕の剣客という設定で、実際に初登場のシーンでも、果し合いを申し込んできた浪人を斬ります。
久蔵は七人の中でも刀を使うシーンが最もクローズアップされ、剣術の型も美しく、刀を抜くスピードも速いですよね。
七人が「侍」の集団であることに一段と説得力を増す存在です。
また、剣術の強さに加えて、己の修行にひたすら打ち込む姿勢も魅力。
勘兵衛には「己をたたき上げる、ただそれだけに凝り固まった奴」と評されるほど。
黒澤監督の創作ノートに、
『久蔵―兵法の鬼―エゴイスト―典型的な侍(極端な侍)―非人間的な程』
と残っている通り、「兵法の鬼」である久蔵は、菊千代が農民たちの村で「女がいねぇ」と嘆いているときも、山に剣術の稽古に出かけるくらいです。
久蔵は宮本武蔵がモデルとされていますが、剣術の鍛錬に余念がない生き方は、まさに武蔵を彷彿とさせますよね。
謙虚で優しい人柄も素晴らしい
久蔵はムダなことは言わず率先して素早く行動する男でありながら、仲間と笑い合ったり、軽口を言ったりもできる人間くさい人物として描かれています。
久蔵は痩せた体からみなぎる殺気が印象的ですが、剣豪の設定にありがちな人の輪に入らない孤高の男というわけではありません。
また、行動の早さは、野武士のアジトを夜襲する際、人選のために勘兵衛が口を切るよりも早く、刀を差して出ていこうとするほど。
また、剣術の達人でありながら、自分の強さをおごることなく謙虚な点も魅力ですよね。
ちなみに、フランスでも一番人気は久蔵で、「ニヒルながらも強い」という点がフランス人の心をくすぐっています。
久蔵にまつわる裏話も魅力的
素晴らしい刀さばきの久蔵ですが、実は演じた宮口精二は、『七人の侍』まで時代劇の出演経験がなく、侍を演じたことがなかったんです。
宮口は剣道の経験もなかったため刀が振れず、馬にも乗れないということで、「こんなえらい剣豪なんてやれません」と、いったん黒澤監督のオファーを断っているんですね。
黒澤に「そこはカメラで何とでもするから」と説得されて最終的に演じることになり、宮口は専門の剣術指導の先生について刀の抜き方から特訓を受けたところ、神経痛を起こしてしまったとか。
その後、衣装合わせで刀を腰に差した宮口を見て、黒澤は「ちょっと違うかな」と不安がよぎったそうです。
しかし、久蔵を含めた6人の侍が水車小屋から飛び出すシーンでは、一番走るのが速かったのが久蔵で、しかも腰が据わった走り方だったので、黒澤は安心したとのこと。
久蔵役については、宮口も
「僕はあの役を演って、本当によかった。あれは大変なもうけ役なんだよ。あんないい役は、一生に一遍、あるかないかだなあ」
と語っているほど、ほれ込んだ役だったんですね。
久蔵のかっこよさを引き立てる配役3名を分析
- 久蔵に斬られる浪人
- 久蔵にほれ込む勝四郎
- ライバル心をむき出しにする菊千代
久蔵に斬られる浪人
久蔵が最初に斬った相手で、完全な引き立て役ですね。
それなりの腕前は持つ浪人で、久蔵と竹刀で果たし合いをしてほぼ相打ち(正確には僅かに久蔵の打ちが早かった)となるが、久蔵に「拙者の勝ちだ、真剣ならばおぬしは倒れている」と言われて逆上し、真剣で再度果し合いを強要する。久蔵に「止めておけ、真剣ならばおぬしは死ぬのだぞ、分からぬのか」と制止されても聞かず、自信満々で真剣での勝負を挑み、久蔵に斬られてしまう。
引用元:Wikipedia
久蔵にほれ込む勝四郎
敵から種子島(火縄銃)を一人でぶん捕ってきた久蔵に対し、勝四郎が
「あなたは素晴らしい人です」
と言った後、久蔵が少しだけ表情を崩し、苦笑のような照れ笑いを浮かべるシーンが印象的です。
また、村の裏山の野の花畑での戦いで、久蔵と菊千代が木の陰で待ち伏せして、偵察に来た3人の野武士を退治する場面は、勝四郎が近くの花畑からこっそり見ていますよね。
危険な仕事も率先して受け持って確実に成果を上げる久蔵に勝四郎がほれ込む点が、久蔵のかっこよさを引き立てています。
また、久蔵は勝四郎と村娘の志乃の逢瀬を偶然見かけますが、勝四郎に声をかけずに見守るシーンも、久蔵の持つ優しさが良く表れています。
ライバル心をむき出しにする菊千代
種子島を一人でぶん捕ってきた久蔵を、勝四郎が「本当の侍」と評したため、菊千代は対抗意識を燃やしてしまいます。
菊千代は戦の持ち場を離れて一人で野武士を襲撃し、種子島を持ち帰って来たものの、不在にしていた持ち場が野武士による襲撃を受け、多くの村人や五郎兵衛が死にます。
久蔵が種子島を取ってくることを仲間に伝えたうえで一人で取ってきたのに対し、菊千代は抜け駆けで取ってきて戦が不利な状況になったため、間接的に久蔵のかっこよさを引き立てていますよね。
また、菊千代が自分の出自を示そうと、家系図を侍達に見せるシーンも印象的。
勘兵衛に「系図が本物であれば己は13歳」と菊千代がからかわれると、それまで笑っていた久蔵がフッと真顔になり、少し身を乗り出します。
酔っている菊千代が、癪に障って自分の刀に手を伸ばしたところ、菊千代より先に久蔵が菊千代の刀を取り上げ、後ろにいた勝四郎に差し出しますよね。
仲間と笑いあっているときでも、常に冷静に判断して行動できる久蔵のかっこよさが存分に表れているシーンです。
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結論:久蔵はどこを取ってもかっこいい
久蔵は剣術の腕、自分を鍛える意志の強さ、判断力の高さ、寡黙で謙虚、優しい人柄など、どこから切り取ってもかっこいいです。
本ページの情報は2021年7月時点のものです。
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