映画『戦場のメリークリスマス』は、最後のハラ軍曹(ビートたけし)のセリフが強烈に印象に残りますよね。
この記事ではラストのセリフに込められた真意を掘り下げるとともに、本作を無料で見る方法についても解説しています。
戦場のメリークリスマスの最後のセリフに託された真の意味
戦場のメリークリスマスの最後のセリフは、処刑前夜のハラ軍曹が「助けてほしい」という思いを隠しつつ、特別な友人とも言えるロレンスに永遠の別れを告げたと解釈できます。
理由としては、次の3つのシーンが伏線と考えられるからです。
- ロレンスがハラ軍曹の部屋を訪れるシーン
- 俘虜について語り合うシーン
- 戦地でのクリスマスのシーン
以下、ラストシーンも含めて順に考察していきます。
ロレンスがハラ軍曹の部屋を訪れるシーン
朝鮮人の軍属に襲われたオランダ人兵士を保護してほしいと、ロレンスがハラ軍曹に頼みこみます。
ロレンスが、
「この男を司令部の方で預かってくれないか。保護してほしい。」
「私はあなたの助けが要る。」
と伝えると、ハラ軍曹は、
「日本軍人は敵に助けを求めたりしない!」
と突っぱねます。
ロレンスは、
「(敵に助けを求めるのは)私は恥ずかしくはないよ。」
と答え、ラストのハラ軍曹のセリフへのつながりを感じさせます。
俘虜について語り合うシーン
夜に俘虜の棟を見回りに来たハラ軍曹とロレンスが、俘虜についての各々の考え方を語り合います。
俘虜となっているロレンスに対し、ハラ軍曹が、
「お前ほどの将校が、なぜこんな恥に耐えることができるんだ。なぜ自決しない。」
と問いかけると、ロレンスは、
「我々は恥とは呼ばない。俘虜になるのも時の運だ。我々も俘虜になったのを喜んでいるわけではない。」
と答えます。
ハラ軍曹は、
「死ぬのがこわいだけだ。おれは違う。」
と言い捨てますが、やはり、ラストの処刑前夜との関連性が見られますよね。
戦地でのクリスマスのシーン
ロレンスがハラ軍曹の部屋に呼び出されますが、クリスマスということでハラ軍曹は酒を飲んで酔っ払っています。
ハラ軍曹は、にやにやしながら、
「『ファーザー・クリスマス』を知っているか?」
とロレンスに問いかけ、今日は自分がファーザー・クリスマス、つまりサンタクロースだといって、釈放を言い渡します。
ロレンスは感謝を告げて退出しようとすると、ハラ軍曹が、
「メリークリスマス、ロレンス。メリークリスマス。」
と呼びかけ、ロレンスに対して、他の兵士とは違う特別な友情を抱いていることが示され、ラストのリフレインにつながります。
ラストシーンでのやり取り
4年の月日が流れ終戦となり、戦争に勝って解放されたロレンスが、翌朝に処刑を控えているハラ軍曹に会いに行きます。
ハラ軍曹は、
「覚悟はできてます。ただひとつ、私のした事は他の兵隊がした事と同じです。」
と語り、ロレンスは、
「あなたは犠牲者なのだ。かつてのあなたやヨノイ大尉のように、自分は正しいと信じていた人々の…。もちろん正しい者などどこにもいない。」
と慰めます。
ハラ軍曹が、
「あのクリスマスの事を?」
と、戦地でのクリスマスの話を切り出すと、ロレンスも、
「覚えてます」
と答え、少々思い出を振り返った後、立ち去ろうとします。
ラストでハラ軍曹が、微笑みを浮かべつつ、
「メリークリスマス。メリークリスマス、ミスターロレンス。」
と言って映画が終わりますが、戦地でロレンスを釈放したときのセリフを伝えることで、ハラ軍曹はロレンスに助けてほしいとほのめかしていると読み取れます。
戦地では敵に助けを求めることを否定し、ラストの場面でも死の覚悟はできていると話していたハラ軍曹ですが、最後の最後で元俘虜のロレンスに助けを求めた、と。
ただ、元日本兵ということもあって直接的に助けてとは言えず、クリスマスの思い出を引き合いにして、暗に思いを伝えようとしたと感じられます。
とはいえ、戦地という極限状況で芽生えた友情を大切に思い、単純に、最後の別れを惜しんでいるとも読み取れますね。
まとめ
戦場のメリークリスマスの最後のセリフは、ハラ軍曹がクリスマスに戦地で釈放したセリフを告げることで、自分も助けてほしいとロレンスに暗に伝えようとしたと読み取れます。
もちろん、万感の思いを込めた別れの挨拶とシンプルに捉えることもできるので、あらためて本作を見直して、自分なりの解釈をしてみると面白いですね。
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本ページの情報は2021年3月時点のものです。
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